
不動産管理会社の活用について教えて下さい。
1.不動産を所有しない不動産管理会社
オーナー所有の賃貸不動産を不動産管理会社に管理委託または一括賃貸することにより、オーナーに集中する所得を分散させることができます。また、将来の事業承継者等が会社業務を行う場合は給与を支給することによって、次世代における資金の蓄積が可能となります。
①管理委託方式
不動産管理会社にオーナー所有の賃貸用不動産に係る管理等を委託し、管理料を支払います。
②転貸方式(サブリース方式)
不動産管理会社にオーナー所有の賃貸用不動産を一括賃貸し、不動産管理会社が転貸します。
2.建物を所有する不動産管理会社
オーナー所有の賃貸用不動産のうち、建物のみを不動産管理会社に譲渡します(またはオーナー所有の土地の上に、不動産管理会社が建物を建築します)。不動産管理会社は、建物の賃借人から賃貸料を収受し、地主であるオーナーに地代を支払います。この場合、次のようなメリットがあります。
①所得の分散・移転
不動産に係る所得を個人と法人に分散させることができます。また、将来の事業承継者等が会社業務を行う場合は給与を支給することによって、次世代における資金の蓄積が可能となります。
②自社株式の贈与
自社株式の贈与は、不動産の贈与に比べて不動産取得税および登録免許税がかからないため、贈与がしやすくなります。
③小規模宅地等の評価減の適用
オーナー所有の土地について、小規模宅地等の評価減(200㎡まで50%)を適用することができます。
借地権の取り扱い
オーナー個人が法人に対して建物所有を目的とする土地の賃貸を行った場合や、オーナー所有の土地建物のうち、建物のみを法人に譲渡した場合等は、借地権の設定があったものとみなされます。この場合において、借地権相当額の権利金の授受が行われないときは、税務上、オーナーから法人に対し権利金に相当する利益供与があったものとして認定課税が行われます。
ただし、相当の地代を収受している場合(※1)や、無償返還の届出書を提出している場合(※2)には、権利金の授受が行われなくとも、権利金の認定課税はありません。
なお、無償返還の届出のある土地について、相続等があった場合には、その土地の価額は自用地評価額の80%相当額により評価します。この場合において、借地人が同族会社である場合には、当該法人の株式評価上、自用地評価額の20%相当額を純資産価額に算入して計算しなければなりません。ただし、無償返還の届出書が提出されている場合でも、その貸借が使用貸借であるときは、オーナー所有の土地は自用地評価額により評価され、法人の株式評価上、自用地評価額の20%相当額を純資産価額に算入する必要はありません。
※1 相当の地代を収受している場合とは、権利金の収受に代え、毎年土地の時価(権利金を一部収受しているときはその権利金を控除した金額)のおおむね6%相当額の地代を収受している場合をいいます。
※2 無償返還の届出書を提出している場合とは、土地の賃貸契約において将来借地人がその土地を無償で変名により所轄税務署長に届け出た場合をいいます。